『砂時計』
東雲 李葉

あからさまな夕暮れを落下しながら見守る影は濃く。
僕はまた君を揺さ振る言葉を探して小さな砂漠を掘り進める。

遠くでは一つ二つと明かりが灯り、
近くでは三つ四つとため息増える。
この続きは誰の筆で描かれるのか。他人任せの今までを悔やんだりはしないけど、
時々、戻りたいなんて思ったり思わなかったり。

帰り切った夕焼けは僅かな色を残しただけで。
あとは人工的な燈が頼りない影を浮かび上がらせる。

昨日は五つ六つと石を積み、
明日は七つ八つと山を作る、
そこにはもう着いてしまった。けれでもまだ終わることは出来なくて。
君がまだ僕のことを何も知らないから。

過去には九つ十と年を重ねて、
未来では零と無量を往き来する。

終わりなき旅をずっとずっと続けてゆく。時々誰かに揺さ振られながら。
万物は流転する、のだと。誰かの言葉を思い出しながら。


自由詩 『砂時計』 Copyright 東雲 李葉 2010-01-28 14:32:22
notebook Home