裏と表は相、反して
窓枠

表に隠し事を置いての帰宅

家庭内では夫婦みたいなものを演じて
翌朝のベッドのシーツだけが
不自然に整っている

   *

夕刻の歓楽街
会社の上司に連れ添って
男は飲めもしない晩酌に付き合えば
ここだけの秘め事と
ほろ苦さを飲み干す

顔も見えない出会い系
ひたすら待つ
控え室ではわくわくも感じられず
名前すら知らない男達と
連日連夜の初体験を味わう女

   *

家の前で溜め息

待ち焦がれた新居とやらは
もう住み慣れてしまった

夫を待つ食事は
なんて味気ないものだろうと
静まったテーブルの片隅では
印鑑を待つ紙切れ
 そこに矛盾だけを残して


あなた
あなた

わたしはさみしいです


自由詩 裏と表は相、反して Copyright 窓枠 2010-01-28 14:30:23
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