線香花火
窓枠


おもいで

10円玉を握りしめたいつかの少年が泣いていた
こんなにも近くにコンビニがあるのに
駄菓子屋という夢の国は遥か遠くで
疎開してしまって

コンクリートだらけの街並みはいつも
どこから眺めても霞んでみえるから
排気ガスが通ります と
いつも素足はまっくろけ


茜色の空の下
校庭の隅にはくたびれたサッカーボール
伸びる影は何処までも、とは言わず
気付かれない範囲で
役目を果たしながら陰っていく

(なんにもしらなくて、ぬくぬく。と、温室で育つ)


セーブされていた冒険の章にて

通学路のわき道を行けば あの
ひっそりとした林道

名も知らぬ草花の青臭さを纏い
木の枝さえ手に持てば
私達は誰だって勇者になれたんだ

夢を見て 追いかけて いた
描いていた魔王は倒せない まま

(ぼうけんの章は未完)


惜しむ 間もないよ

私達は
歩かなければ
 ならないのです


 ぽつ、
  ぽつ、
    と


自由詩 線香花火 Copyright 窓枠 2010-01-27 23:43:23
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