真冬の灼熱
あ。
はじける光を逃がしたくなくて
手のひらで両耳をきゅっとふさいだ
いくらあたたかな毛糸で肌を覆っても
手足は温度を忘れたかのように冷たい
冬は嫌いじゃないし寒さにも強いほうだけど
この冷え性だけは本当に困っている
干したばかりの洗濯物は冬風にさらされて
ゆっくりとした動きで波を打っている
重く気だるく感じるのは
まだいくばくかの水分を含んでいるからだろう
ベランダから空を眺めてみれば
ねじれたような形のうす雲が流れている
太陽は無邪気なほどに辺りを照らし
夏に見た風景とたいして違わなくて
それでも確かにわたしの手足は冷たいし
湿った洗濯物は軽やかに動かないし
閉じた目の中にある光は過去のものだし
思い出した甘い痛みは灼熱の中にあった
ひとつ、胸いっぱいに酸素を吸い込み
ひとつ、大きく二酸化炭素を吐き出す
余分なものが排出された身体の中では
数え切れない様々な光が駆け巡り
その美しさをひとつぶだって逃がしたくなくて
いつまでも閉じ込めておきたくて
そっと、耳を