尋ねるひと
恋月 ぴの

お嬢さん、ハンカチ落としませんでしたか

なんか懐かしいよね

それから腕時計しているくせに
いま何時?とちゃっかり左手首隠しつつ尋ねてみれば

そうねだいだいね♪

あの頃のあなたは笑顔で答えてくれた

柱という柱から時を刻む音絶えて久しいけど
今年の桜の開花は早いらしくて
ひとり出直そうと決意したわたしの心を励ましてくれる

そんな季節だよね

春ってさ

涙をお拭きよと渡されたハンカチは別れのしるし
粋な別れをしようじゃないかと
かび臭いフレーズにすがりつく自分自身が悔しくて

そうねだいだいね♪

あくまでもシロクロ付けないのが人生の妙味ってやつだけど

外したままになってた結婚指輪
何処へ仕舞ったのかと机の引き出しひっくり返す






自由詩 尋ねるひと Copyright 恋月 ぴの 2010-01-25 22:44:24
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