綾瀬のりこ

三十年ぶりに会った母
記憶の片隅にも無い母
けれど会った瞬間に
本当の母なのだと実感した

今まで母(と呼んでいた人)に感じていた
違和感の訳がわかった気がした
何故だかはわからない
でも確かに違った
母なのだ

妙な安心感があった
自分が何処から来たのかが
ついにわかったのだ
足元の砂がさらさらと流れていくような
不安が消えた
血の繋がりというものを
これほど感じた事はなかった

母から私へ
そして私から娘へ
脈々と流れる赤い血
今はこの血がいとおしい



自由詩Copyright 綾瀬のりこ 2010-01-22 22:04:00
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