水をふくむ夜
吉岡ペペロ
肌さむいが水をふくんだ夜だった
水のぶんさむさは何処かぬるかった
ことしさいごの年始の会合のあと
熱気にすこし汗ばんだからだに
夜は心地よくてなにか昔を思い出させた
どんな昔?
どんな顔立ちの昔であったか
思い出すこともさやかにやめていた
昔は昔を思い出すことなぞなかったのだ
水をふくむ夜、
それはまるでモーツァルトのようだ
自由詩
水をふくむ夜
Copyright
吉岡ペペロ
2010-01-22 20:44:57