ながれる世界をのめばいい
あぐり



浴室で
目が覚める
からまらない夢
そういえば昨日、わたしは
産まれたいからずっとからだあらいつづけていたんだってきづいた

怖い夢だった
わたしの感知する世界の70%が溶けてしまって
そのなかにたぶん、
きみのぬくもりもあったんだと思う
隣の席に座っていた子供らにぜんぶ
わたしの世界は飲まれていった
おかあさんたちがねだられるままに口移ししてたから、
きっと、そうなんだと思う
べつにいいんだ
それがかれらの生きる糧になるんなら
わたし消えたっていいよ、べつに。

欠けてしまったから
もうすこし産まれようってわたし、
蛇口ひねる
ちらちらとまたたくひかり
きら きら と。
星達は死んでくんだってね
今日だっておんなじように誰かが燃えてる
それがわたしの背中をまた潤して
それに罪悪感おぼえるのは偽善だよ
そんなこと言ってるなんて、
生きる偏差値30も無いんじゃないの、きみ。

排水口から溢れ出す
もっともっと蛇口ひねる
流れきらないものはぜんぶ
ねだる子供らにやるよ
いいこはなんにも言わない黙ったまんまで
それだからわたしはなんだか苦しくなるからまた
小さく小さく溺れようとしてる
産まれたい産まれたいってまだ
死んでもない癖に、って
排水口から溢れ出す
はやく溺れろ。
はやく流れて、
そうしてそうして明日の真ん中で海になればいい

いいこ、いいこ
夢を見ないようにおやすみって言って。
今夜もずっとあらいつづけて眠れば
少しは綺麗になれるかな、わたし。




自由詩 ながれる世界をのめばいい Copyright あぐり 2010-01-22 00:14:15
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