人魚のつぶやき
朧月

うずまきのぐるぐるにそって
泳ぐ魚の一匹は
わたし

群れにみえるのは
船の上 橋の上の動物の目の中の魚

とんでもない
うろこの数がちがうよ
あんな 貧弱な色してないね

ぴぴん
尾びれをふって

ぱしゃん
海面をたたく

ぐるぐるうずまき
ほんとうは 海のしゃっくり

いろんな色に見えるのは
ざわめきが反射するから


あの人にあいたいなあ
うっかりちかづいた
浜であったんだ
しにたいっていって泣いてたあの人に

わたしのヒフに触れて
こんな肌にはなりたくない
そう言って陸に逃げてったあの人に


ぐるぐる ぐるぐる
教えておくれ
いつくるの?
潮の満ち干きの謎ときの日



自由詩 人魚のつぶやき Copyright 朧月 2010-01-21 12:16:27
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