木立 悟







誰も連れていってはくれない
共に歩いてもひとりになる
着く場所は
無いほどに遠い


てまりうた 狭窄
てまりうた 混濁
虹に刺され
四散する曇


花が咲き かがやき
かたちはこだまし
闇はわずかにつぶやき
遠のく


棄てられた雪
二羽の鳥
川を流れる
流れる


くちびるの行方
汽笛の行方
夜から朝への
道ではない道の道のり


袋のなかで
砕けた菓子
いちばん大きなかけらを手にして
小さな音の影は駆け去る


わたしはあなたの舌先には居ない
ひとりにさえ蹴られるひとりとして
あなたから外れて歩いている
あなたはあまりにも正しく 遠すぎる


皮は幾重にも厚く
もはや脱ぐことさえできない
風は初毛ばかりをむしり
他は荒地のための荒地へと変わる


昼の光の隅に
亡霊が立っている
午後が来て 灯が点る
夜が来て 誰も居ない


川はやがて海へ着く
海のむこうの海へ
更にむこうの海へ
川は川のまま底をゆく


負の星が降り
水に浮かぶ
しあわせを得たいものだけが
しあわせの幻にすがりつく


菓子を分けてはくれまいか
日に日に増える震えをそらんじ
見えない雲へ
見えない名前を託してゆく





















自由詩Copyright 木立 悟 2010-01-20 22:02:42
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