「残花」
月乃助


レッドウッドの梢のさき
木漏れ日は森閑のゆらめき

  私のなかで…落ちていきました

  小さな音がかえってきては、
  だからか、そこに声を聞いた気がしたのです
  のどの奥でわずかな声を押し殺すような
  どこか 虫の音にさえもにている

常緑の葉を白く染める陽になって
やってくることもあるのかと ほんの少し
踵を上げ 首をのばしてみる
目を凝らしてみれば 妹の姿がそこにあらわれるのかもしれない
そんな想いにでも、ただ、風が
冬の声になって0℃のあざけりの笑いをあげていた

  枝の影に隠れているなら、

  口元のゆるんだ笑顔も、忘れそうなのだから
  青白く冷たくなった顔ばかりを見せ付けられていたから
  それが、ずっともう薄らいでいたのに

餌を求める鳥達の鳴き声さえも シンとして
羽音さえも聞こえてくるのですね
鳥の姿になって、綿毛のような胸をふくらまし
私に会いにきたのですか
寒さに休み休み枝の間に白くなり
悲しく笑ったりするから
風が心の中までもふいてくるようです

  咲き枯れたバラの花が一りん、木の下に
  死んだように静まった顔をしているのは、
  やはりおまえの顔だったのかもしれません

こんな話をすれば、怒ったように眉をよせる
妹のことを今日は、どうしてか
思い出したりしていました






自由詩 「残花」 Copyright 月乃助 2010-01-20 06:55:10
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