夜花未満
アキヨシ

百合の皮をめくりたいという人がいて
道の真ん中で手をゆらしている
まっくらなのだ
まっくらなのだ
薄皮一枚
光の場所
あん人
あん人の
ところにいくだ

唱える
人がいて
道の一人で
夜が来たのだ
声は実は出ていなくて
唇が少し動いているくらい
身なりは布が重なるくらい
息が白く出ているくらい
花持つ少女が
その手に百合を与えるのだけれど
掴むことなく落ちてしまう
花持つ少女が
両手でぎゅっと
掴ませるのだけれど
指は開く
花は落ちる
夜が進む
ぽっかりと開いた
口の中の
粘つく落ち葉
くらい


自由詩 夜花未満 Copyright アキヨシ 2010-01-19 21:23:58
notebook Home