夜花未満
アキヨシ
百合の皮をめくりたいという人がいて
道の真ん中で手をゆらしている
まっくらなのだ
まっくらなのだ
薄皮一枚
光の場所
あん人
あん人の
ところにいくだ
と
唱える
人がいて
道の一人で
夜が来たのだ
声は実は出ていなくて
唇が少し動いているくらい
身なりは布が重なるくらい
息が白く出ているくらい
花持つ少女が
その手に百合を与えるのだけれど
掴むことなく落ちてしまう
花持つ少女が
両手でぎゅっと
掴ませるのだけれど
指は開く
花は落ちる
夜が進む
ぽっかりと開いた
口の中の
粘つく落ち葉
くらい