読み捨てる権利
海里

つける薬がなくても
そっと手を当てることでの手当て

それが誰から
誰への苦痛であっても

詩をすることの楽しみしか
苦しみしか
知らないことへの祝福であっても

何か通うものがあれば
何かが和らぐ

何が和らぐのか
何が通うのか
分からないままでもね

手のしわとしわを合わせてシアワセ
指の節と節を合わせてフシアワセ

しわとしわを寄せればシワヨセ
手のひら全体ぎゅっと押しあわせてオシアワセ

宇宙とか
星とか光とか心底聞き飽きましたが
誰もが
脳の中の一軒家に住んでいる

せめて
ゴッサマー
千の題名と蜘蛛の糸

窓から
風の中に精一杯
腕を差し伸べて
手のひらを差し出して


自由詩 読み捨てる権利 Copyright 海里 2010-01-17 23:54:15
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