すいぎんとう
フユナ

うっかり秋口に
スリップ姿で煙草を吸いに出た少女は
うっかり14歳のおとこのこに
エッチされてしまった



灰皿代わりのペットボトルを
少女は死んでも手放すまいと思った



うっかりゆらゆら立ち上がっては
ありがとうなんて言って
そのまま公園で煙草を吸った



その公園には林檎の花が咲いていて
ごつごつした木に抱き
うっかり好きなんだ
好きなんだとつぶやいて
林檎の木は
うっかりそのひとの肩幅に
そっくりの味がして



少女はどうしても
水が飲みたくなったので
うっかり煙草を捨てた水を
ごくごくと
飲んでしまった



ペットボトルはエビアンで
真緑色のスリップだった。



 
 
 
 






未詩・独白 すいぎんとう Copyright フユナ 2004-09-24 02:49:52
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