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AB

親指の付け根で床を知り、ゆっくりと、土踏まずから踵へと移動しながら床に触れてゆく
一足、一足。
その間隔は短い
少しずつ、床を確かめる
一瞬、床に顔が映った気がした

中空に手を突き刺すが
何も当たらない
落胆のため息が口から零れる、それはどこまで歩いてゆけるのか
その足跡を辿ることは出来ない

床はまだ続いているのか
足を下ろすと、置場はなく
宙に浮く右足

恐る恐るもう少し下ろすと
床、あった。

列車の通過する音が窓を貫いて
わたしの鼓膜を振動させる
ああ、
音に糸がついていたら
うれしかったなあ
途切れ途切れなのはなぜだろう
線路が連続していないのかもしれない

探さなければならない
床を
鏡のような床を、あらしめるのだ、ここに
ああ
口元に流れ来た汗がおいしい


自由詩 build/built Copyright AB 2010-01-15 14:57:46
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