塩小路
ことこ
*化石
ならない電話をのみこんで
渦まくコードの
耳から漏れる
おとのかたまりを見つめてた。
*氷菓
たて波の断面のように
歯こぼれしていた、
底冷えのあさ
薄切りのきゅうりを
しおもみする
あなたの手なれたてつきは
迷いひとつなく
(ちそうをてさぐる
(はりめぐらされた地下鉄
(ぼうぜんとしながら、とおりすぎてゆく
(息つぎの しろい
(雑踏
おどろくほどかるい
すかすかの骨を並べて
路線図を模すと
せいぜんとした、標本のように
収められてゆきます
*流木
しもやけが
路肩のあたり
いちめんを覆う
わきたつ感触
まざまざとあらわれる
干渉縞の
波うち際で
(かつて根があり、気孔があった)
幹は
流線をとどめたまま
交錯する袋小路で
削ぎ、おとされた
受話器を置く