やっぱすべてはあるがままが(※歌えません)
ホロウ・シカエルボク





おれが自室で退屈しのぎに何となく詩を書いていると
胸に直筆で「神」と書いた名札をつけた男が現れて
いきなりこんなことを言った「選べ。」
「おまえの言葉はいい加減すぎる。それでは詩とは言えない。詩人になんて到底なれないぞ。選べ。」
「あんたいったい誰かな?そもそもおれと会うの初めてだよな?そもそも入ってくる前に玄関でまずベルを鳴らそうぜ?」
そいつははもったいぶっている割には不思議なほどそこらへんの連中とまるで違いはないように見えて
おれは適当にあしらって帰ってもらうことにした
「ねえすぐ出て行かないと警察呼ぶけど?」
「けっ…警察とか呼ぶ必要はない。わたしはおまえに詩とは何なのかを教えてやりにきたのだ。」
「あちゃー、蚊に食われた。血吸った。えらい膨らんだなぁこれ…。」
「わたしの話を聞け。選べ。」


「選べ、選べ、選ばなきゃ駄目だ。今のままじゃ駄目だ、選べ。」



「いやそんな事言われても困るな、暇つぶしに書いてるだけなんだからさ。」
「それじゃあおまえはどうあっても選ぶことはしないというのだな。」
「どうでもいいからとっととリビングから出ていってくれる?マジで警察呼ぶよ?シッシッ!」
「仕方がない奴だ、おまえがどうしても聞かんと言うのなら私はこれで帰る。だがもう一回だけ言うぞ、選べ。」
心なしか少し早口でそう言い捨てて「神」は出て行った
カーペットには靴の後がありありと残されていて(土足かよアンニャロ)とおれは思った
詩作の手を止めてカーペットを掃除していたら部屋のドアがドカドカと叩かれ何かが郵便受けに投げ込まれた
めんどくせえと思いながらも掃除が必要なものだったりすると困るので確認しにいくと
そこには一枚の紙が入っていて「神」とサインがしてあった
警察が来ないことを確認してから戻って来たのか?
何はともあれおれは紙を開いてなにが書いてあるか読んでみた


「ゴミめ!カスめ!腐れ野郎め!セイウチに踏まれて死ね!ゲスめ!」



「選べ」「選ばん」「選べ」「知らね」
「いつか怖い目に遭わすぞ」「うるせ」
「選べ」「ヤダね」「選べぇ」「やーだね」
「もしもし警察ですか?変質者が」「ヒェー」




自由詩 やっぱすべてはあるがままが(※歌えません) Copyright ホロウ・シカエルボク 2010-01-14 16:48:24
notebook Home