死後硬直
within

やはり感傷的なものはだめなのかなと夕焼けを見ながら思う。感傷だけでは心を引き止めることはできないのかもしれない。強い細部があるからこそ感傷に強度が生まれるのだろう。綿密に書き込まれた現実がなければリアリティの上を浮遊することはかなわない。
 ねじれの位置にある二つの直線が孤独の憂いを呼ぶように、五次元の囲いは稲荷の御神体に凭れかかっている。
 かじかむつま先の感覚が次第になくなってくる。懐かしい。子供たちの行進に道の端に追いやられ、ゆっくりと徐行するしかない。蓑虫のように風に吹かれても、ゆらゆらと風向きにまかせ、融通無碍になれないものだろうか。季節の移り変わりの圧倒的な力に押し出され、今日も高速に乗る。


自由詩 死後硬直 Copyright within 2010-01-14 16:18:38
notebook Home