飾る花瓶がなかったから
オンガシ



最終電車の最終駅
薔薇の花束を抱えた君
憂いた瞳に何思う

前に座っていた男
広げた新聞取っぱらい
切り立つ魔羅を見せつけた

意気揚々とたちあがり
片足ピンヒール脱いだ君
ドラクルに十字架のごとく
男のこめかみ尖る踵を撃ち込んだ

ひくひく男に薔薇 飾る

こぼれ落ちそな目玉の際に
卑しく歪んだ唇の奥に
開き疲れた薔薇活ける

ひっそりと
そびえる魔羅にも薔薇を挿す

最終電車の最終駅
喜々と震える往き際男
もやもや頭で何思う


颯爽とホームに降り立つ君
片足ピンヒールで舞い歌った

薔薇なんて飾る花瓶がなかったの〜


自由詩 飾る花瓶がなかったから Copyright オンガシ 2010-01-14 01:52:40
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