雨女
弥鈴
天気予報は曇りのち雨
冬晴れ続きで
乾きすぎた雨女は
その唇に
無色透明のグロスをさす
鞄の隅に折畳みの傘
忍ばせてはみたけれど
きっと今日もそれを
使うことはなくて
濡れてしまいながら
うっすらと雨女は
潤う心震わせて
微笑みすら浮かべ
冷たい雨に打たれ
濡れてしまいながら
その雨に
無色透明なナイフを翳す
自由詩
雨女
Copyright
弥鈴
2010-01-13 20:02:52