僕の学校にバカは沢山いたけど不良と基地外は一人もいなかった
虹村 凌

もしこれが詩でも文字でもなく
もしこれがただの記号だったとしても
そんな事は構わないんだ

僕のいた学校にバカは沢山いたけど不良と基地外は一人もいなかった。

剥き出しの暴力と反抗
その先の敗北だとか悔しさだとかが全然足りてなかったんじゃないかって
柔らかいフィルターの煙草を吸いながら思ったんだ
真っ白い壁に破壊って黒いペンキで書いて
その前には何も置かずに
正面にベッドマットを敷いて眺めていたい気分なんだ

誰か人の殴り方を蹴り方を
喧嘩の仕方を教えてくれないか
誰か酒の飲み方をゲロの吐き方を
アルコールの使い方を教えてくれないか
誰かベースの弾き方を
誰かセックスの仕方を
誰か

この男、誇大妄想家につき

どっかで誰かが駄目になったと聞いて
モニターの前でやっぱりなと思う
あいつとあいつもそう思ってるだろう
多分二人とも酒を飲んでる
いつも飲めない俺は済まなく思うよ
煙草とコーラばっかり飲んでいるから
裏切ったような気分になるよ
だからあまり外に出たく無いんだ

煙草は今までに何千本って吸っただろうけど
肺がどれくらい黒くなってるかは知らない
セックスは今までに十回もしてないけど
一回もした事が無いような気さえする
誰かを今まで傷つけ裏切り盗み騙してきたけど
守れたり庇えた事なんか一度もなかった

暴力、暴力、暴力
僕に拳銃を
立派な奴じゃなくていい
ぴかぴかに光っていなくてもいい
だから拳銃を
でも誰も人の殺し方は教えてくれないし
殺していい人がどこにいるかも教えてくれない

勘違いしてんじゃねぇよ
生き方教えろって言ってるんじゃねぇんだ

頭が痛い
頭が悪い

僕の学校にバカは沢山いたけど不良と基地外は一人もいなかった


自由詩 僕の学校にバカは沢山いたけど不良と基地外は一人もいなかった Copyright 虹村 凌 2010-01-13 15:09:56
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