凪
都志雄
遠くで踏切りの音が聞こえる
どこに向かう列車だろう
真夜中すこし前、
僕にはもう
行く先なんてない
ここが僕の終点だもの
音量を絞ったラジオからニュースが聞こえる
君の
眼を細めて笑う
内面をそのまま映し出したような笑顔はいつも
僕の心のひだに沁みる
やがて ひたひたと
潮は満ち満ち
僕はまた
君の海に沈んでいく
遠くに雷鳴を聞きながら
オレンジ色のネオンサイン
今夜はこのまま灯しておこう
おやすみ
また明日
真っ白な砂浜に
風車が回りだすときまで
自由詩
凪
Copyright
都志雄
2010-01-11 20:20:11
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