モルド
ハイドパーク

雨ばかり続くせいか

部屋の天井と壁の隅

3本の直線の交わる所に

黒いカビが生えたようだ

一人ぼっちの僕

人に聞けない事

カビに聞いてみた

「僕みたいなダメな人間、生きててもいいの。」

・・・ダメだよ

「僕みたいな無駄な男、生きる価値はあるの。」

・・・無いよ

近づいてみると

それはカビではなくて

散歩していた

僕の暗い想念であった

手を差し伸べると

ごく自然に

頭の中に帰ってきた

振り向くと姿見の中に

口角の下がった男の

ちからない微笑みがあった


自由詩 モルド Copyright ハイドパーク 2010-01-11 15:13:24
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