fuck you
ピッピ





あたしはね。
あたしは、本当は、こんなコト言いたくないんだよ。
本当は、もっと、綺麗なものを、綺麗な言葉を、言いたい。
だけど、綺麗なものが逃げていくんだろうか、
綺麗なものなんて本当はないんだろうか、それとも、
ファックなんて言葉が、さ。

世界一あなたを愛している、ということを、
ファッキュー、どこかの国の一番汚れた言葉で、言い換える。
意図なんて存在してはいけなかったんだ。
ファッキュー。犯したいよ。

とにかく、空っぽになってしまった部屋を埋めるために、
あたしはまず何をしたかというと、サボテンを思い切り可愛がった。
結局あなたの100000000000分の1にも満たないこのサボテンを、
今は1と見なすことがもう精一杯だった。
それからカルピスサワーを飲んで、寝た。
「昨日の」貴方の匂いがする、舞台で。

ファッキュー。そう言うと、あなたはいつも少し嫌な顔をした。
多分、そういう言葉を使っちゃいけないよ、というあなたなりの諭し方だったのだろう。
そうなんだよ。わかってる。
あなたの言うことは、全部わかってるよ。
でも、その時だけ、あたしは世界一になれる。
世界一歪んだ窪みに、あたしがあなたを引き連れようとしている。
ファッキュー。ファッキュー。哀しいよ。ファッキュー。
本当は言葉なんてなにも束縛できるはずがないのにね。
それとももっと綺麗な言葉だったら、少しはあなたを騙すことができたのかな?

あなたが誉めてくれた数少ないもの。
あたしの身体。あたしの淹れたコーヒー。サボテン。
ファッキュー。
どこまであなたを壊せたら、あなたは戻ってくるかな。
それとも。

対象物のいないファックなんて、猫が啣えた秋刀魚の骨にも満たないじゃない。
ファッキュー。やっぱりあなたが居ないと駄目だ。
ツールじゃない。でもフィールでもない。
ファッキュー。ファッキュー。不安杞憂。ファッキュー。

バイバイ。失せろ。愛してる。


自由詩 fuck you Copyright ピッピ 2004-09-23 17:34:23
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