#バースデイ
岡崎師

部屋に雪が積り、川が流れている。真っ白な部屋で僕は一人、翼をもいだ。
君の背中に僕の、羽根を付け足して、人差し指で星を描いた。
人魚姫の石化した歌。ぼくらはきっと、石に戻れる。
空から石が降ってきて、僕らは窓を閉めた。遠くで白い、雷鳴音が聞え
僕らは遮音室に隠れて耳を塞いでいた。視覚は灰色、聴覚は緑、嗅覚は白、味覚は真っ青、
触覚は赤と緑が混り、僕らは色について少しだけ話し合う事にした。
僕が目を閉じているときにあの、窓から見える月は存在しているだろうか
僕と君があの窓を開けて、ふたりで飛び立てた日の、事を思い出せるかぎり
あの近くの星に、手が届いてそして、星は丘に落ちてくるだろう。
黒い光が窓を遮り、全ての音を遮断した夜。僕と君ははじめてのキスをした


自由詩 #バースデイ Copyright 岡崎師 2010-01-10 05:40:19
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