『乳房』
あおい満月

 ずっと待ち焦がれていたの
 その手を
 あなたのその手を
 あなたに愛撫されるように

 夜のシーツに包まってわたしを宥めた
 あなたをずっと待っていたのに
 あなたの指がわたしに触れると
 わたしは閉じかけた蕾のように押し黙る

 あなたのぬくもりと
 わたしの間に
 見えない扉があるように
 鏡の前に
 流れてしまう 
 わたしの蜜

 乳白色の

 星空に願うように
 今も絹の下で
 あなたを待ち焦がれている

 眠るように
 鏡の前であなたを呼ぶ

 あなたを唄う

 この腫れあがる
 赤い果実は
 すべてあなたのもの

 今夜、
 残さずに全部食べて




                        2009.9.10(Thu)


自由詩 『乳房』 Copyright あおい満月 2010-01-09 13:55:52
notebook Home