キャベツのメルヘン
りょう

私の背中に包丁を入れてください
あーそこそこ
丁度かゆかったんです
そのまま まっぷたつに
お願いします

キャベツというのは
幾重にも丸まって
ドカンといるでしょ?
自分が大きくなるためだけに
芯を持ち続けているんです
そういうのに
いささか疲れました

あなたと包丁によって
芯のないおいしい千切りに
変身したいんです

両手からあふれるぐらい
細かくきってください
左手のひらでおさえて
包丁でまな板ごと
切り刻んでください

あなたの盛り付けなら
文句言いません
空気が入るように
置いてくれますから

ソースでもドレッシングでも
いいですよ
あなたの口に入れるなら
そんでもって
歯のすきまから
つまようじと
チャンバラしたいです
遊び疲れたら
お腹の中で眠る

これが私
夢見るキャベツのメルヘンです
ダメですか?


自由詩 キャベツのメルヘン Copyright りょう 2010-01-09 11:18:15
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