フレル
朧月

フレル 震えるそこに フレル

いつまでも降り止まない雪は
ついに私の心にまで侵食する
どろどろになっている私の心の中に
冷たい温度のそれはしんしんとつもる

フレル 凍るそこに フレル

ずっと泣いていたから痛む頭を
支えながらのろのろと立ち上がる
失ってしまった水分を補給するために
水道の蛇口を咥える

フレル 心臓に フレル

鷲づかみにした果物を噛み千切るように
とりだしたあなたの感情を叩き潰す
未練の音がぽたりとおちていった

フレル 目の中に フレル

生暖かいあなたの目からあなたにはいりこんで
永久にあなたからでないことを誓います
あなたが 望むと望まないに関わらず
もう一切を決定した 私の意志は
だれにもとめられない速さで
あなたを侵食しようと企んでいる

どうかこれからのあなたの生き様を
醜く晒しながら 目の中にいる私に送ってください
黒く潤む目の奥から 

この世界に 私は フレル



自由詩 フレル Copyright 朧月 2010-01-09 11:00:50
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