つくえのうえの
笠原 ちひろ

強く
ゆびで押すと柔らかく凹むほどに
紅く、
林檎


食べ頃をうっかり
逃してしまったものだから
どうしたものかと
思案している


その薫りやわらかく
そのかたち未だ林檎のままなので
捨てるにしのびなく
持て余すほどには
邪魔でもない

というわけで
テーブルの上に
ほうりっぱなしにしているのだが

たまに視界にちろりと
紅が
入ってくるのは悪くない



ああ、
先生ってば素敵なんだよなあ
白衣が似合って
目元がやさしくそよいでて
話してくれたら嬉しいし
名前を呼ばれたらちょっとどきどきする
考えるとあったかい気持ちになるんだよなあ

ああ、先生ってば素敵なんだよなあ



………先生とヤッてみたいな!


白衣の白
林檎の紅

机上のエロ




うっとりと
頬杖ついて目をつむる
昼下がり








自由詩 つくえのうえの Copyright 笠原 ちひろ 2010-01-08 16:53:18
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