エデンへの道のり
りょう

  時は満ちすぎ腐り果てた
  集うはずのものが散らされ
  世界は再生にもう遅い

太陽より宇宙を照らす
金色の槍を持ってして告ぐ
己にある
人間よ天使よ悪魔よ
混血し己に目覚めよ

望むものよ
忘れ果てた血の涙を今流せ
  自らの命を持てず
  人形のように弄ばれ
  なぐられるまま人に従い
  狂わないと生きられなかった者
お前たちの悔しさを忘れない
  身に覚えのない暴力のあと
  笑顔で出されたご馳走は蝋の味
  秩序秩序と飲み込まされ
  残ったものは吐き気だけ
今こそ復讐せよ
  血管を通る鉛の砂利を
  皮膚の上から噛み砕け
  蝕んでいたのは
  己の恨みと悔しさと知り
  全て吐き出すならば
  浄化の涙が訪れる
決して飲み込むな
  お前たちの食べるものは
  他にある
  血と涙と泥にまみれた胸に
  混血が始まる

そむける者よ
  皮膚の下の卵からかえる
  黒いザリガニと赤いうじ虫に
  存分に殺されろ
  砂と化す渇きとともに
  引き裂かれる痛みに喜べ
  それらは胸をやぶり
  幾つものハサミで腸を引きずり出す
  やがて這い出る魑魅魍魎が
  競い静かに食い散らかす
  残された骨はしきつめられ
  血でぬり固められた道となる
  えぐられた男根と子宮は
  最後の桜と紫陽花になる
  仮面と化した顔だけは
  うちすてられたまま

  混血したものたちよ
  互いの涙と息と言葉が
  お前たちの唇に
  触れるにふさわしい
金色の光に約束する
  お前たちのつないだ手の中から
  エデンは生まれる
  偽りの林檎のない
  愛に満ちた世界は
  決して世界の片隅にやられる
  笑われる儚い幻ではない
  血の道を踏み出せ

目覚め出会ったものたちよ
今こそ君臨せよ


自由詩 エデンへの道のり Copyright りょう 2010-01-08 09:46:09
notebook Home