解放区
夏嶋 真子

ジャンクフードからドッペルゲンガーまでを
わたしの小さな世界の一員と認めて陳列したストアで
コスモポリタニズムを宣言するの。
エキセントリックな彼を愛する彼がとても好きだから
シャネルともルイ・ヴィトンともバイバイして
裸のままのわたしはヒッパルキアになろう。
だけど黒髪がいつだって純潔を証明して
洋梨の形をした思想が子宮の前で震えだし
死までのカウントが聞こえる。


あぁ、カント
そう、カントにいたるべき道筋。



現代とかいう上書きの連続によって
真理の探求をあきらめようなんて素敵な真理にたどり着いたのは
月面着陸よりも遠かったのね。
正しさというのも魅惑のひとつだから心酔するのかな、
愚かな魚が溺れて瞼のない瞳で泣いているよ。
(じゃあ、((あたしたちの目指したもの))はなんだったの?)
なんて、大真面目に嘆く必要ないわ。
花が咲いて散ることのその意味を解放区が許しているから
生まれたときの気持ちを思い出したの。
泣いていいよ、ありったけで


コスモスは月でゆれてる。
月齢27の舟でゆこう。




自由詩 解放区 Copyright 夏嶋 真子 2010-01-06 08:40:41
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