祈りの詩
itukamitaniji

祈りの詩

遠くへ向かう 船を見送って
僕は一人 海を見ていた
ほんの少しだけ 涙を流した後
紛らわすように 歌を歌ってたんだ

無邪気な祈り 持ててはしゃいでたっけ?
檻の中に 無理に閉じ込めて
生きる意味に すり替えた僕は
どれだけのものを 見殺しにしたの

楽しい夢から 醒めるような虚しさ
朝が来て見渡しても 見つからない

幻 だけどまた
掌にそっと 温もりを残して
消えた 寝ぼけたまま
胸に手を当てて それが治まるのを待った


いつかは忘れるさ なんて悲しい響きだけ残したまま
そんな風にずっと 日々は続いてゆくんだろうな



届かないのに 歌う理由
叶わないのに 祈る理由
僕は怖かっただけ 自分を裏切ることが
だけどもう十分 可哀相なほど

縛りつけ続けてた ボロボロの祈り
ビリビリに破って 春の空に撒き散らした

綺麗だった キラキラと
光を浴びて 空へ舞い上がった
いつまでも 僕は見とれていた
たくさんの景色が 通り過ぎていた

飛んでけ 風に乗って
悲しみの海を 渡り越えてゆけ


心に残った 痛々しい火傷の跡も全部包めて
いつの日か また自分自身のことを愛せるように


自由詩 祈りの詩 Copyright itukamitaniji 2010-01-06 01:20:29
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