開田高原
鵜飼千代子

         海抜 1100メートル 
         時速 60キロメートルで駈ける
         
         ここまで来て 
         まだ空は果てしないのだ
         いや 
         かえって深く高く なったのだ

         抜ける  青                                             / アオ  
         にじむ  蒼                                             / アオ
         かなた  碧                                            / アオ 

         プリズムの緑色スクリーンが 
                                                 後方に 
                                                                            スクロールする


         緑風が頬を撫で 
         巻いて沁み入る
         ほどけ 浄化し
         

         山が 開ける
         眼前に 積乱雲
            
         緑の雲を翔けていたのだ 
         ゆるいカーブを
         たどりながら


         まだ行ける 
         まだ行こう
   

         この空に とけるまで



初出 NIFTY SERVE FCVERSE (現代詩フォーラム) 1997.08.02
改訂
詩集 ブルーウォーター 所収


自由詩 開田高原 Copyright 鵜飼千代子 2010-01-06 00:54:31
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