冬と双子
木立 悟







雪は雪に飛び
鱗の声は撒かれ散る
径に落ちたひとつの実
枝を曇を空を照らす実


腕は振られ
夜はむらさき
縫い針を失くし
捜す合い間に


造られすぎた景のむこう
わずかなわずかな蒼が現われ
裾を咬み指を咬み
夜を少しずつ遅らせる


ゆうるりゆうるり曲がる川の
進む先は雪で見えない
横たわる光の傍らに
冬もまた横たわり息を吐く


白と黒の径 双子の背
窓と水色
壁は壁を見つめすぎ
離れるものに気づかずにいる


問い応え 問い応え
目と空を行き交い
冷えたつばさ
土にひろがる


傾いだ蒼の片方の
空のふたえ 水のひとえ
月のまわり
まばたきは虹


燈火を分ける
折れた道標
指ほどくうた
水染めるうた


手と手の隙間
光の生きもの 身をくねらせ
夜を照らし
歩みつづける頬を照らす





















自由詩 冬と双子 Copyright 木立 悟 2010-01-05 13:29:03
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