ライラック通り
吉岡ペペロ
ライラックの香りが飛び込んできました
車を停めたときには気づきませんでした
4月の夜のことでした
まわりを確認してから枝ごと花を盗みました
それを車のダッシュボードのうえに置きました
4月の夜の涼やかさはこれだったのですね
車内が4月の夜になりました
清潔な女の香を思い出しました
そして公共性のない発進の仕方で
ライラック通りを逃走したのです
自由詩
ライラック通り
Copyright
吉岡ペペロ
2010-01-04 15:44:01