船葬
楽恵



切り倒したばかりの白木 刳り貫いて

船をつくろう 船をつくろう

亡くなった人の骸を入れるため

船の棺に入れて 愛しい亡骸を入れて

白浜へ挽いていこう 海まで挽いていこう

青の葬旗 白の葬旗 赤の葬旗 黒の葬旗 黄の葬旗
 
ひらひら風にひるがえし
 
ひらひら風にひるがえし

挽歌を歌いながら 泣きながら挽いて

波打ち際で今生の別れ 別れて船を押し出せば

船が波に揺られてゆくよ ゆらゆら揺られてゆくよ

あの人の船がゆくよ

黒い鳥が飛んできて 船の舳先にとまったよ

鳥を舳先に乗せたまま 船は遠くに 

鳥は舳先に乗ったまま 船は遠くに

ゆらゆらゆくよ

ゆらゆらゆくよ

大きな波がやって来て 船は波に隠れたよ

遠くにいったから 船は波に隠れたよ

舳先の鳥はどこへいった

あの鳥はどこへいったの



自由詩 船葬 Copyright 楽恵 2010-01-04 06:06:17
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