何もなかった
オンガシ

僕には、
何もなかった

夏の蚊のごとく
生き急ぐことしかできなかった
何もないのに求め続けた
何もないのだから
何も得られる筈がないのに
なのに求め続けていた


僕には、
何もなかった

僕は息をし続けている
理由なんてきっと何もない
何もないのに生きている矛盾
藁の城のようにたよりない答えを
こっそり密かに追い続け
さらに求め続けていた

僕には、
何もなかった

何もない僕は
何も得られる筈のない僕は
息をすることしかできない僕は
それでも確かに存在するであろう
何もないあなたを
ずっと探し求めている


自由詩 何もなかった Copyright オンガシ 2010-01-03 01:59:25
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