何もなかった
オンガシ
僕には、
何もなかった
夏の蚊のごとく
生き急ぐことしかできなかった
何もないのに求め続けた
何もないのだから
何も得られる筈がないのに
なのに求め続けていた
僕には、
何もなかった
僕は息をし続けている
理由なんてきっと何もない
何もないのに生きている矛盾
藁の城のようにたよりない答えを
こっそり密かに追い続け
さらに求め続けていた
僕には、
何もなかった
何もない僕は
何も得られる筈のない僕は
息をすることしかできない僕は
それでも確かに存在するであろう
何もないあなたを
ずっと探し求めている