ぼくらの町
オイタル

オレンジの灯りが点々とする
雪の祭りの
ぼくらの町

狭い歩道を歩く 婆三人
灰色のほおっかむりで
ひそひそと
植え込みの陰に
みかんの皮を押し込む
ぼくらの町

町から背の高い釣具屋が消え
半分しか開かない薬局はいつのまにか
透明な散髪屋に変わった
友達はすっかり弱くなった
つやのない雲が町を覆っていく

青空が百万歩 後退する
ぼくらの町

三角の土地に四角いアパート
銀色の水が指先のように円く流れ
時々歩く散歩道の
雑草の前で
ペットボトルの寝言を聞いてる
ぼくらの町

昼間
ハンドルを回しながら
生きる意味を考える
ぼくらの町


自由詩 ぼくらの町 Copyright オイタル 2010-01-01 14:58:10
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