呼吸、暮れる朝

世界に風が吹いて
あなたが生まれた1日が
どこか知らないところへ運ばれてゆく
水没したカレンダー
燃やされた泣き声


どこを見渡しても
見たことのないような景色ばかりだった



ひどく漠然とした流れの中で
「空っぽ」だけが存在を主張して
淡々と噂話を街にばらまきながら日々は過ぎてゆく


足りないもの と 過去形 
そんなものばかりが積み重なる世界で
今を拾っていく覚悟が
今の僕にあるのだろうか

逃げる明日を追いかける仕草で
また自ら明日へ逃げてゆく



+




音になりたい




+




ただひとつ 
呼吸を確かめること
それだけが特技なんだと 

いつかあなたが言った言葉が
頭の奥で繰り返し響いているから



すべての色が褪せるためにある
そんな世界でも
息を吸ってまた吐いて
それだけは続けなければいけないと思った


あなたの不在だけが存在を主張する空
その片隅で  

夕暮れが朝を染めてゆく



自由詩 呼吸、暮れる朝 Copyright  2010-01-01 00:00:47
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