『縷々継がれ往くサマ』
Leaf
傾き歪んだ棚に並べられた手帳を眺めながら
目眩く年月を想えば
こんなにも歪な階段をよくも登ったもんだと
自画自賛をしたくもなった
書斎の黴た匂いに畳のささくれが染み
足元を見ずには居られなくなったとしても
お爺ちゃんの嗄れた手を握りしめ
田圃の畦道を歩いた温もりが懐かしくて
埃被った手帳を申し訳なくそっと祓うのだ
いとおしくひらひらと散り逝くサマが
眼の奥から沸き起こった安堵の気持ちを駆り立て
胸締め付けられた
もう二度と会うことはないと
そう分かっているだろうこと
現在が一頁の過去に成り変わる度に
歴々と書き連ねる、老いたその筆致は
我ながら切なくいたたまれない罅割れた皺のよう
記憶が記録に次々と変換されていくだけ
二度と捲ることのないページを
見当たらぬドッグイアの折り目を
全ては畳んだまま歪んだ棚に収まってある