はじまり
……とある蛙


生まれた季節は冬の冬
 年の最後のどん詰まり
 暮れ行く年の落し胤
 雪もはらはら降るような

生まれた街は底の街
 上の街のとなり街
 違っているのは人の色
 違っているのは家の色

育ったところは隣の空き地
 いつも人が入れ替わる
 だれのものでも無いようで
 他人のものでありながら。

猫も犬もいた街に
 自分も野良の一員で
 いつもふわふわ漂って
 人の後(うしろ)を追いかけて

空も当時は青かった
 ぽっかり浮かぶ雲の上
 いつもふわふわ漂って
 人を上から見下ろして

心はいつも春先の
 桜の中で日向ぼこ
 花びらの散る庭先で
 あらゆることを夢想する。

自分はいつも独りだが、
 決して寂しい訳じゃない
 心はいつも春先で
 あらゆる場所(ところ)を夢想する。

そして、すべてが始まった。


自由詩 はじまり Copyright ……とある蛙 2009-12-28 12:55:22
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子ども時代