私のいるところ
りょう
ここに今
セミのヌケガラがあるからといって
私だと思わないでください
私はそれがないところにいます
陽ざしの中で
水の粉しぶきをあびた
綿毛の舞う先に
私はいます
私は
いま死んで
いま生まれています
だから
当たり前のように登る太陽
横断歩道を渡らないおばあさん
体をふるわせる詩を
この瞬間に捨てています
手放したハトが
戻ってくることを知りながら
生まれ直したときに
また出会えるように
天国や地獄ではなく
出会いこそが
私の今いるところなのです
雪の結晶を見たからといって
私だと思わないでください
結晶を集めて
私と言わないでください