しるべ
朧月

雨が通った街路樹の
匂いを胸に吸い込んで
自分の命に響かせる
同じ命に響かせる

冬がなぞった川沿いの
倒れた花に指添えて
季節という名を染めてゆく
冬の肌に染めてゆく

生きている
それだけで
なにもかもが 始まってゆく

私の声は 私にしかきこえない
私の想いは 私にしかみえない

明日のことを考える前に
することがあるって
わかる鼓動が どくんと鳴ってる

わかってくれ
わかってくれ
だれでもいい わかってほしいんだ

そんな想いがこぼれそうになって
ぎゅうと唇をかみしめる

駆け出したくなる衝動に
照らされる夕日の坂道を
また 歩いていこう 
同じ日をなぞるだけに見えても

同じなんかじゃない 同じにはしない

生きている
それだけで
自分にはなにかができる

そう思う 一歩は今日の
軌跡となって 続く
自分のしるべになって



自由詩 しるべ Copyright 朧月 2009-12-26 16:12:31
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