エシャレットとラッキョウ漬け
鵜飼千代子

エシャレットを植えたのだが
ワケギと見分けがつかなくなった

どうでも
日本の食卓にあがるエシャレットは
ラッキョウに土寄せをして
軟白栽培し若採りしたものらしい

タマネギもペコロスもニンニクも、ニラも
そして、
ワケギもエシャレットも
無造作に作付けたわたしの畑は
ーーさすがに長ネギは判別出来るのだが
どれがどれやら
葉をかじってみてもどうにも怪しい

夏の酒の肴にと植えたエシャレットも
どれも食べられる物だからと
しばらく様子見とほったらかし
脇に生えてきた茗荷竹の花をみそ汁に入れる

とうとう観念したか
エシャレットの葉は枯れ
ワケギは青青とさせている

土寄せし損ねたエシャレットは
ラッキョウ漬けに姿を変えて食卓を飾る

来年こそはきちんと名札を立てて
などということは恐らくせず
その内、葉を見れば同定出来るようになるだろう





   筧槇二氏を偲び土にむかう  平成二十年九月十三日           
   初出 千葉県詩集 第四十一集 二〇〇八年版


自由詩 エシャレットとラッキョウ漬け Copyright 鵜飼千代子 2009-12-26 11:56:16
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