電脳と肉体
小林 柳
画面の奥には配線があり
そこに人はいない
温もりは血ではなく電気で
おうとつのない平面は
何も言わない
いらいらすることもなく
にらみつけもしない
でもそこには真心がない
無数の言葉と絵を映しても
わずかな本気さえない
100人の村のなかに
100基の城がある
孤立の空間
どこまで世界が繋がっても
そこには影しかいない
笑いもすれば泣きもする
生きる人との繋がりは
辛く虚しい
だからこそ美しく愛しい
目を見ること
手を握ること
人を抱きしめること
外で人が生きていること
確かに生きていること
体の柔らかさに
もう一度思いをはせる