お手上げボーイとワガママガール。
菊池ナントカ


私の苦しみは酷く透明に尖っていて、きっとアンタも傷つけちゃうわ。
それにアンタにも私の苦しみは理解不能よ。
ヒールで踵返す、ワガママガール。

それでも宜しくお願いします。
と、お手上げボーイ。

お手上げボーイは彼女に歌う。
「シ、シ、ド、レ、レ、ド、シ、ラ♪ソ、ソ、ラ、シ、ラ、ソ、ソ♪」
喜びの歌?第九??学校で習ったわ。
ワガママガールは少し機嫌をなおす。

歌詞は知らないの?
歌詞はドッチのバージョンも忘れてしまったんだ。
だらしないわ。
ワガママガールは、また膨れる。

ワガママガールはスマートなレディのような猫のように、お手上げボーイの膝に頭を寄せた。

傷ついて、傷ついて、お互い傷ついて、その先に幸せはあるんだろうか。
ワガママガールは僕の膝で泣く。
高い水晶みたいな涙を流す。

水晶の海の果てには、
幸せが手を振っているんだろうか。
乙女心をスタッカートで踏み潰せ。



自由詩 お手上げボーイとワガママガール。 Copyright 菊池ナントカ 2009-12-18 21:15:26
notebook Home 戻る