美しく積み上がった世界の中で
あ。

そのうち通り過ぎるだろう
ほんの気まぐれな天気雨


一面の田んぼだったこの辺りは
ほんの少しの間に住宅街になった
たくさんの家が整然と並べられ
目線を上に持っていけば
規則的に並ぶ青い屋根が見える


雨は均等に分け隔てなく青に注ぎ
斜面をつるつると滴り落ちてゆき


積み木遊びが好きじゃなかった
綺麗に作るのが得意じゃなかった
何となく積み上げて何となくそれっぽい
特に不満もなかった、それで


整然と積み上げた完璧さがやだ
繰り返された美しい景色がやだ
曖昧が許されないこの雨がやだ


いらいらして祈るふりをしてみたら
あんなに降っていた雨があがった
さらりと太陽が顔を出す
本当に天気雨だったらしい
ぼんやりとそう思っていただけなのに


祈りが通じたなんて思ってないよ
理由は全部、霞の向こうへ
通り過ぎた雲の裏側へ


自由詩 美しく積み上がった世界の中で Copyright あ。 2009-12-17 22:30:02
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