残り葉
乱太郎


こうべを垂れて
風を避けるように流れ流れ
赤ん坊のように
そっと
土に抱かれる
黄緑色の葉

子指くらいの蕾の中で
水脈の子守唄を聞かされていたとき
僕は冬の海の枕木だった

陽射しを愛して
小鳥に休息を与えていたとき
僕は焼かれた土の煙だった

濃緑色に弾けて
てんとう虫と戯れていたとき
僕は川底で啼く玩具だった

この葉と過ごした半年
僕の手に載せることがなかった
しかしいま
ショパンを聴きながら
想い出の枝に挿す


自由詩 残り葉 Copyright 乱太郎 2009-12-15 15:44:23
notebook Home 戻る