会話
こしごえ

遺影と目が合う
私がまだここに在る
万年筆と腕時計の
青青とした言葉の繁みを
刻みつつ書いて行く時を
その者は、見守っている

いまもなお続く道を。
視線は歩む
心の遺伝子を携えて
終わり無き自問と共に
連ね貫いて 終り無く

死者の声がする
首をかしげて、耳をかたむけて私は。
しんと瞑る先へ
花束を供えた、かけがえのない

裏の林に生えている草木を
縁側より眺めてから
空へと目を配る
ああ、空の色だ
私も息を継ぐ

面影である花と散った雲と星とそれぞれの、
私はささやくように
真っ直ぐに見つめる。
いまここにあるすべてと
ゆらぎをもち
微笑み
交わす
切ない時もあるけれど

玄鳥が、すいすいーーーーっと飛んでいく
秋天をどこまでも









自由詩 会話 Copyright こしごえ 2009-12-15 06:21:12
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